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【橘玲】幸福を戦略的に考えたいなら『幸福の資本論』を読む

今回は、2017年6月に出版された『幸福の資本論ーーーあなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』のを読んだ結果、すごく共感し、納得した箇所があったので、共有する。

橘玲(たちばな あきら)さんって...

著者である橘玲さん(@ak_tch)は、『マネーロンダリング』をはじめ、金融・経済関係の書籍を多数手がけている作家だ。

マネーロンダリング (幻冬舎文庫)

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マネーロンダリング入門―国際金融詐欺からテロ資金まで (幻冬舎新書)

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幸福になるための3つの資本

『幸福』という言葉は、抽象的ながら実生活の中に溶け込んでいる言葉だ。

 

資本という経済学用語を利用し、いかにして満足度を測るのか、というところに惹かれ、本書を手に取りました。

 

ここでいう幸福というのは3つの資本が充実していればいるほど高まるということ。

3つの資本とは...

  1. 金融資本(自由):金融関係の資産
  2. 人的資本(自己実現):自身が仕事を行う上での能力
  3. 社会資本(共同体=絆):家族・友人などのネットワーク

 この資本をベースとし、パターン化したものが8つの人生パターンというわけだが、橘はこれですべての人の幸福パターンが説明できるとしている。

 

3つすべてが充実している人を「超充」、金融資本や人的資本は低い上、社会資本だけは充実している、いわゆるマイルドヤンキーは「プア充」、しかし、そのネットワークすら失ってしまうことで「貧困」になってしまう、など。

 

しかし、3つを同時に揃えられる「超充」は目指すべきではない、と著者は述べており、それは3つを同時に揃えることは、あまりにも現実離れしていることに起因する。

 

お金にも恵まれ、好きなことを突き詰めたうえで仕事ができ、多くの愛する人たちに囲まれている...

 

こんなことをできる人は本当に一握りの、もしかしたらいないかもしれないのだから、目指すだけ野暮というものですが、現実には2つをそろえることができている人はいて、それはボクたちの周りにも、それなりに存在する。

 

金融資産はなくとも、収入の恵まれた職業に就き、友人や恋人にも恵まれている「リア充」や、職務能力や金融資産にも恵まれているものの、友人や恋人など社会的資本がいまいちな「金持ち」など、身近にも2つ持っている人は一定数存在している。

 

身近なところに存在するということは、ボクみたいな人間でも目指せるということを意味し、それをどうやって勝ち取るのか、という戦略を考えることが本書のテーマだ。

「幸福は社会資本からしか得られない」

著者である橘氏は、もっとも重要な資本について以下のように述べます。

金融資産や人的資本に比べて社会資本は漠然としているが、幸福を考えるうえで一番重要だ。

割と面食らったような感じですが、ボクはその理由を読んだときに、なんとなく腹落ちしました。金融資産でも人的資本でもなく、社会資本が最も重要であるその理由は...

 なぜなら、徹底的に社会的な動物であるヒトは、共同体の仲間から評価されたときに幸福感を感じるように進化の過程でプログラムされているからだ。すなわち、「幸福は社会資本からしか得られない」。

 ボクみたいな小さくて何もできない人間でも、曲りなりにも”承認欲求”は持ち合わせています。この10年ほどで、その承認欲求を満たすための装置として、SNSが今ではインフラとして整備された背景を考えると納得できる。

 

ボクはお金も欲しいし、仕事ができる人間にもなりたいと心底思っているものの、いかんせん、何にも出来ていない...。情けない限りだ。

 

...戻ります。 

 

ただ、3つの資本は常に増減を繰り返すものですので、それをうまくコントロールする必要があるが、それを設計することができるのがヒトという生物の利得であり、性質でもある。

 

つまり、増やしたい資本の特性をよく理解したうえで、生み出す富を計画し、実行することが求められるということになる。

高齢社会の唯一の戦略

著者である橘氏は、日本が現在直面しており、どこの国も経験したことのない問題に関しての対策として『老後の短縮』を掲げている。

 

橘氏は、そもそも『老後』とは、上記3つの資本の中でいう“人的資本をすべて失った状態”と述べており、金融資産的な資本、つまり収入を得る方法は原理的に以下の二つ。

  1. 人的資本を労働市場に投資する
  2. 金融資本を金融市場に投資する

すなわち「働いてお金を稼ぐこと」「資産運用」で、ほとんどのサラリーマンは定年を迎えると年金以外の定期収入がなくなることで、人的資本からの収入を得ることが不可能。

すると、人的資本をすでに定年という旧来的な制度のおかげで失ってしまっているため、十分な金融資産がない人は不幸に陥ってしまう。

そこで橘はこう述べる。

ここで大事なのは、『老後は自らの意志で長くすることも短くすることもできる』ということです。

老後問題とは、人的資本を失ってからの期間が長すぎることです。だとすれば、老後の経済的な不安を解消するもっとも簡単な方法は、老後を短くすることです。

確かに、現状、日本の中でも再雇用という形で定年退職をした方でも条件は落ちるものの、雇用されている人も一定数いますし、この方々は「老後」とはならない。

 

が、それまでの働き方ではなく、あくまでも支援者的な立場での就労ということになり、所得が下がってしまう上に満足のいく形での働き方ではないかもしれない。

 

そんなマックジョブ(本書の中で登場する、本当に誰にでもできる仕事)しかできないスキルしか持ち合わせていないのであれば『老後』が長くなるから、必然的に金融資本に依存する形になる。

 

そうではなく、ゆるい共同体(社会的資本)を維持しながら、人的資本を好きなことや得意なことに向けて強化し、“フリーエージェント化”することで、下手な依存的な社会的資本に振り回されることなく、常に現役として幸福を目指すことが可能となる。

 

このフリーエージェント化を目指す、という点が今後の日本においても、特に重要な点だと感じる上に、それができる人的資本はクリエイターになるということを意味する。

 

簡単にいうと、プロジェクト単位ごとに集合離散する働き方、つまり映画やアプリ開発などの働き方ができる人材となることは、結果として人的資本の高い人材であることを示す何よりの証拠となります。

 

そしてそれは、自らを『定年』という線引きとは無縁となり、自らのしたいこと、得意なことを生業として生きることが可能になる。

幸福を戦略的に考えられそう

 ボクは正直にいうと、決して学歴があるわけでも(専門学校卒)、大した職歴があるわけでもない。しかし、本を読むことはできますし、大好きです。今回、本書に出会ったことで、ボクにだって幸せになることができるかもしれない、と思うことができた。

 

幸福について、少しでも考えている人は、ぜひ、本書を手にとって(Kindleの場合はダウンロードして)読んでもらいたいと思う。

 

今回もいい本に出会うことができた。橘先生、ありがとうございます。