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【本多静六】『私の財産告白』を読んだことは財産を成すための一歩だ

誰でも金融資産を増やせる

本多静六という人物をご存知だろうか。もし、ご存知ないのであれば、ぜひ本書を手に取ってもらいたい。

 

著者である本多静六は、子ども時代から学生時代にかけてひどい貧乏生活を髄液に染み渡るほどに感じていた。「貧乏でいることによって、深刻な苦痛と耐え難い屈辱を舐めさせられてきた」と語るほどに。

 

また、「貧乏生活からの脱却は、精神の独立も生活の独立もおぼつかないと考えた」とも述べており、これが彼の貧乏征伐の決意とされている。

 

貧乏が精神的に苦痛であり、その貧困的な精神性を退治すること。これは、身近なところで考えれば、ダイエットという名の自己規制をかけられるかどうか、という精神性にも似ている。

 

もちろん、貧乏というのは本人の意思では成し得なかった部分もあるため、一概にダイエットと比較できるのかという批判もあるかもしれないが、「本人の意思のもと」という条件付きで比較する。

 

どちらにも共通しているのは「無駄を省くこと」だ。

 

太ってしまう大きく、そして簡単な要因は、無駄な嗜好品をバクバクと音を立てて食べてしまうことだ。同じく、自らの意思で無駄な購買行動を取ってしまうという点で、貧乏にも同様のことがいえるのではないか。

 

つまり、やむを得ず生活を詰めるような状況は、貧乏の連鎖を生み出し、結局は貧乏のままだ。なぜかといえば、そこには貧乏精神の脱却が図れていないことが明確だからだ。

 

そこで、本多は貧乏を圧倒するために勤倹貯蓄をつくることを決意『四分の一天引き貯金法』を考案・実践し、結果的に何千万円もの資産を積む形になったわけだが、これを行うには断固たる決意が必要であり、容赦のない行動規律が求められることはいうまでもない。すなわち、寸分の妥協も許されないのだ。

 

本多はこれを“大いなる決心と勇気が必要である”とし、貯金の問題は、方法の如何ではなく、実行の如何である、と方法論に縛られるのではなく、決めることの重要性を論じているのだ。

 

また、本多はそれに飽き足らず、臨時収入を全て貯蓄に回してしまう、という荒技をことも無げにやりきったところに、飽くなき精神性の強さが見られる。その生活は、時として子供達の悲しみを買うこととなり、さすがに断腸の思いだと述べている。

 

しかし、同時に「しっかりとした理性の上からきており、気の毒だとか、かわいそうだなどということは、単に一時的なことで、しかもツマラヌ感情の問題だ。」とも。

 

自分だけではなく、自らの家族にも同様の辛酸を舐める生活を求めながらも、強い意志を持って貯蓄を成し遂げることを優先しており、今の苦しさは苦しさを逃れるための苦しさである、と自らの奥さんを説いた。

 

自らの収入の四分の一を貯蓄に回すというのは、例えば月の手取りが20万円だった場合、5万円を貯蓄に回すということだ。決して少なくない金額ではあるが、それを不退転の決意を持って実行することで、金融資産を増やすことが叶う。

 

この方法の意味するところは、実施するひとに須(すべから)く、金融資産を構築することを約束することを意味しているのであり、年間で間違いなく一定金額が資産として計上できるのだ。

 

資産をさらに増やすために運用へ 

金融資産を増やすためには、不退転の決意を持って、しっかりと履行することで、増やすことができることがわかった。しかし、本多はドイツ留学時の師であるブレンタノ教授より財産を増やせ、といわれている。

そのブレンタノ博士が、私の卒業帰国に際して、

「お前もよく勉強するが、今後、今までのような貧乏生活を続けていては仕方がない。いかに学者でもまずゆうに独立生活ができるだけの財産をこしらえなければ駄目だ。そうしなければ常に金のために自由を制せられ、心にもない屈従を強いられることになる。学者の権威も何もあったものでない。帰朝したらその辺のことからぜひしっかり努力してかかることだよ」

と戒められた。

つまり、自ら望んで貧乏生活を行い、貯蓄を行うだけにとどまらず、一定額を貯めることができたのであれば、他の有利な事業に投資をすることで、財産を作るのだ、と説かれたのだ。

 

ちなみに、当時の銀行の法廷歩合は年率で5〜9%の間で推移していて、年間で60万に5%の利率だとしたら3万円が含み益になる。もちろん、これを3年、5年、10年と継続することで、一定の金額になることが期待できる。

(参考)歴史統計:日本銀行金融研究所

 

しかし、それだけではなく、当時の日本は国家社会の発展前夜であり、その時勢を利用するため、幹線鉄道と山林への投資を行うことで、財を成すための投資先として有望なことがわかった。ましてや、本多はその専門家として、大学で助教授を務めている。

 

結論をいえば、本多は勤倹貯蓄と投資を行なった結果、40代にして現在の価値で100億以上の財産を形成したと言われている。

 

現代に生きる我々が本多の資産貯蓄・運用方法について学ぶべき点として、2点だ。

  • 勤倹貯蓄
  • 資産運用

なんでもない、ただ、これだけであり、誰でもできる。しかし、何といっても大切なのは、貯蓄にしても、資産運用にしても“ルールを決め、それを守り通す意志”ということになる。

 

確かに、誰でもできる、というのには語弊がある。意志を持った行動を取れる人間であれば、誰でもできる。

 

本書を読み進めていくと、本多静六という人は、決して株式投資で先見の明があったわけでもなさそうだ。しかし、自分の中で運用ルールを定め、それを遵守していたからこそ、莫大な資産を獲得するに至ったことを見ると、ボクのような市井の人間でも一定程度の財産を築けることがわかる。

 

そして、現状、誰でも多かれ少なかれ、投資家として一歩を踏み出すことは何ら難しいことでも何でもない。自らの資産を運用することになった途端、各種銘柄や世の中の流れについて勉強せざるを得なくなる。

 

そのスタートとして、本書を読んでみるのもいいのではないだろうか。

 

私の財産告白

私の財産告白

 
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