{DE}dolog ポルスター博士ってご存知ですか?
Dr. habil.Harald Polster
今年のcramer japan,日本SAQ協会主催のSAQシンポジウム内で紹介された「リスクトレーニング」。
実は、このリスクトレーニングの考えが日本に入ってきたのは、10年以上前なんですね。
その時はまだ紹介する媒体も少なく、注目もされませんでしたが、今ではご存知の方も多いのではないでしょうか。
最後となりましたが、このポルスター氏の“ことば”をそんなに数は多くないのですが、ご紹介できたら、と思います。
動く=リスクではない
「リスク=危険なものなのか。」
「リスクには客観的なリスクと主観的なリスクがある。客観的なリスクというのは、地震や原子力、環境汚染、職種によるリスクなどがあり、主観的なリスクには、速度、高さ/怖さ、命中度、妙技に対して、など。この様々なリスクを克服することを目指すのがリスクトレーニング。」
「あくまでも動作とスポーツをもって“リスク環境”を克服する【ポジティブコンセプト】であり、リスクと不安を克服する方法の新たな展開である。また、他のトレーニングと同等に扱うべきであり、特別化するものではない。」
「パフォーマンスについて考えると、興奮度が高いのだけれど、抑えることもできる状態を作る必要があることがわかる。リスク環境を克服させるトレーニングを繰り返すことによって、そもそもの基準値を高くしていく必要がある。」
「良い指導者、というのは、常に新たな動機を与えられ続けられるかどうか、という点に大きな比重がある。」
「私が日本での指導をしていて感じるのは、学生はミスを恐れることが多い。まだ何もしていないのに。ミスを恐れなければならない環境を指導者が作っているからそうなる。」
「トレーニングをしている選手が常にトップのリスクにさらされているかどうか、というのは、トップになるためには不可欠なものであり、それを常にクリアし続ける必要がある。」
「リスクは、その当事者、つまりトレーニング実施者にとって問題のないスキル課題であれば、リスクにはならない。」
ポルスター博士の言葉の中で、個人的に非常に好感を持っていることばは、「リスク=危険なものなのか」という点。
危険と冒険では、個人的にはネガティブなのか、ポジティブなのかによって使い分けています。険しいことを危ぶむ=危険、険しいことを冒すのが冒険、と言ったところです。
冒険には、それを敢えて取り組んでいく前向きな気持ちがありますが、危険には踏み込まずに躊躇している姿が思い浮かぶのです。
同じriskという単語でも、ある線を境に臨む姿に変化が生じるわけです。
こういった観点からポルスター博士のリスクトレーニングを見てみると、ご自身でも「ポジティブコンセプトである。」と述べていますが、危険よりも冒険の意味合いの強い、前向きなトレーニング方法であることがわかります。
何もしていないのにもかかわらず、危ぶむよりも、敢えてそこに飛び込んで、その結果を受けて修正していく。
失敗を“経験”として捉える事が大切なのだと教えられるようなことばです。