ドイツはライプツィヒからの帰国 番外編
ドイツはライプツィヒからの帰国という連載の中で、総合型スポーツクラブ【SC DHfK(エス・シー・デー・ハー・エフ・カー)】を存在だけご紹介しましたが、急に概要についてご紹介したくなりましたので、書いてみたいと思います。
総合型スポーツクラブであり、尚且つ、ライプツィヒという地域に対して国からの補助が出ていながら、という前提を含めた中で考えていただけたら、と思います。
健康増進やリハビリスポーツ、Kidsスポーツセンターという“子供たちにスポーツの楽しみを”伝えるという名目で2006年に創設されたプロジェクトがあります。
そして、このSC DHfKには一般健康スポーツや、リハビリスポーツのほかに競技スポーツとして、陸上、水泳、スピードスケート、バレー、ハンドボールなど16の運動部が存在しており、会員は好きな物を選んで運動を楽しむ事が出来ます。
入会にあたって、入会金は10Euro(1 Euro=99.88円:6/15現在)。これはファミリー割引があるそうで、それ以外に毎月15Euroを支払って会員資格の維持と施設利用料として支払うのですが、ここには生活保護受給者であろうが何であろうが受け入れており、どんな人間であれ、境遇に健康でいる権利を奪われる云われはない、とう事ですね。
そして、各施設を利用してのレッスンプログラムがあるのですが、それを受ける為にも金銭が生じます。これは、個別に単元を決め、それに対してお金を払うのではなく、時間をきめて、お金を支払う形になります。
例えば、健康スポーツのクラスでピラティスを受けたいと思ったら、そのプログラムに対して金銭を支払うのではなく、週の中の60分、90分、120分間の時間を買って、それをプログラムの中で消化するという事です。つまり、時間チケットを購入するという事で、時間チケットを各プログラムの責任者に渡して、参加するという流れになるのです。
そのクラスも多岐にわたっておりまして、その中から本人が必要性に応じて選ぶという事ですね。
いくつか挙げていきます。
〔キッズスポーツセンタープラン〕
○親子でスポーツ、母+1−3歳
○ティーンダンサーズ、6/7(これは6,7歳のクラスだという事だと)
○妙技/曲芸、10−15歳
○キッズスポーツ、4−6歳
○キッズボート、9-11歳
○バドミントン、7-12歳
○ボールスポーツなど、6−8歳 etc…
〔リハビリ/健康スポーツプラン〕
○糖尿防止スポーツ
○脊柱体操
○シニアダンス/ラインダンス
○運動コオーディネーション
○心臓病防止スポーツ
○喘息/肺疾患防止スポーツ
○骨粗鬆症
○サーキットトレーニング etc…
〔フィットネスプラン〕
○栄養と運動-Akademie-
○体幹強化
○Zumba(ズンバ)
○インドアサイクリング
○ストレッチング
○腹部専門パワーサーキット
○ハタ式ヨーガ-Akademie-
○脂肪カットワークアウト etc…
Akademieというのは、金額を支払い、継続的に参加し、知識と理解を深めていくもの(だったと思います…)。
*上記した各プランについての具体的な内容については割愛させてください。すべてを見れるわけでもなければ、どれかだけを説明して、他をしない、というのは非常に無責任なので。
SC DHfKでは、上記したように2006年からキッズスポーツセンターを創設し、子供たちへの運動に対して力を入れてきましたが、この参加している人数はドイツ最大規模であり、U-11(11歳以下)で860名、U-14(14歳以下)のカテゴリーになると1400名に達するそうです。
そして、新生児や乳幼児、幼時から親子で運動に取り組めるような工夫をし、3歳から一般的なスポーツ動作を身につけながら、“ちから”“可動性”“持久”を楽しみながら身につけさせる様に各指導に当たるトレーナー(指導者)が工夫しています。
その中の取り組みとして、スポーツパスというものを発行し、子供達に渡しています。
これは、20種類の基礎運動スキルが描かれていて、取り組むのに環境を選ばないので自宅で可能でありながら、両親に対しての報告書でもあれば、トレーナーの目安になる、などの利点がある訳ですが、大事な点は「テスト」をしないという事だそうです。
各教室内でトレーナーが動きを見て、金銀銅と評価・サインし、子供へと渡すそうです。
テストにしてしまうと、それが“目的化”してしまう為に、それに躍起になるけれど、それは意図していない事だと。
これ以外にも画期的な取り組みがありまして、それをご紹介したいと思うのですが、上手く表現できていなかったらすいません。
子供たちが年齢を重ねて各競技種目を選ぶ段になったら月毎に種目を変更して多種な種目に触れさせ(サッカー→ハンド→バレー、など)そこから自分に合ったものを選んでもらうスポーツホッピングという名称で呼ばれる取り組み。
また、休暇期間(夏休み)スポーツ、これは体験コースとして1週間5日間で日ごとに種目を変更して子供たちに取り組んで貰う、という取り組み。
そして、何より「スポーツメリーゴーラウンド」と呼ばれる取り組みですね。
10-12種目のスポーツを経験するものであり、目的は“動く=楽しい”を体験してもらう事にあるそうなのですが、3-4週間ごとに競技種目を変更し、それを1年間かけて行うというものです。その間に各競技のトレーナーがめぼしい子供を見つければ、その競技に引っ張っていくことも可能。
このプランはライプツィヒ大学の、ある学生の学士論文(卒論)からヒントを得て、実際に取り組んだもので、ある程度の成果を得ているとSC DHfKの理事でもあるミノウ博士はかく語りき。
さて、以上がブワーッとライプツィヒの総合型スポーツクラブSC DHfKの紹介ですが、どのような感想を抱かれましたか?
日本でも徐々に地域総合型のスポーツクラブが活力を得てきましたが、上記したプランについてはまだ及ばない点もあるのではないでしょうか。
特に、一般健康スポーツやリハビリスポーツで行われるプランについては、ライプツィヒ大学の卒業生も多く担当しており、科学的な見地を持っている人が指導者として取り組んでいることもあり、内容を見た個人的な感想としてはレベルが高いな、という印象です。
言葉がまったく理解できていないので、その内容の上辺しか見ていないものもありますが、まだまだ日本でも出来る事はたくさんあるんじゃないかな、と。
番外編、以上です。
引用・抜粋)
?トレーニング科学国際集中講座 in Lepzig 基礎資料中
(編集:ライプツィヒ大学スポーツ学部/一般動作学・トレーニング学研究室
翻訳:高橋日出二(ライプツィヒスポーツ科学交流協会)
?SC DHfK訪問の際に通訳を介して聞いたこと
通訳:翻訳:高橋日出二(ライプツィヒスポーツ科学交流協会)